行政書士の相談業務をしているなかで「内容証明とはどのようなものですか?」と質問されることがあります。そこで、今回は郵便局において差し出すことができる、内容証明とは?について書いていきます。クーリングオフや損害賠償の請求を考えている方の参考になれば幸いです。
内容証明とはどのようなもの?
日本郵便株式会社によると内容証明とは
いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって、日本郵便株式会社が証明する
制度とされています。
つまり、その名の通り差し出した手紙の内容を証明してくれるものになります。
この内容証明を差し出すことにより、受取人から「手紙なんて届いてなかった」「手紙にはそのようなことは書いてなかった。」などを言うことができなくなります。
このことは郵便法にも「内容証明の取扱いにおいては、会社において、当該郵便物の内容である文書の内容を証明する。」と規定されています。
内容証明はどうやって郵便局に差し出すの?
内容証明の差出し方法は
差出郵便局に作成した内容証明を持ってきます。
( 全ての郵便局で内容証明を差し出すことはできないので、注意が必要です。事前に内容証明を差し出そうと考えている郵便局に問い合せることをお勧めします。)
郵便局の窓口に持って行くものは?
1、受取人に送付する内容文書
2、上記内容文書の 謄本2通(これは差出人と郵便局が各1通ずつ保存するためです。)
3、差出人と受取人の住所氏名を記載した封筒
4、内容証明の加算料金を含む郵便料金
ちなみに、内容証明の加算料金は430円です。
などが必要になります。
また、念のために差出人の印鑑を持って行くことをお勧めします。
内容証明が証明できる範囲
内容証明とは郵便局が手紙の内容を公的に証明してくれるものになります。
しかし、ここで注意しておかなければならいポイントは
内容証明では手紙にどのようなことが書いてあったのかということまでしか証明はしてくれません。
例えば、クーリングオフをして代金50万円の返金を求めた場合でも、郵便局は手紙に50万円返せと書いてありましたということしか証明をしてくれません。
つまり、内容証明郵便を出せば、○○年○月○日にこの内容の手紙を出したということを郵便局が証明してくれるものになります。
では、内容証明を受取人が「受け取ってない」と言った場合はどうするのでしょうか?
内容証明を受取人が受け取ってないと言った場合に備えて
内容証明は手紙なので、差し出しても受取人が「内容証明など受け取っていない」と言う可能性もあります。
この場合は、配達証明というシステムがあります。
配達証明とはいつ受取人のところに内容証明が配達されたのかを証明するものになります。なぜこの配達証明が大切なのかというと、
クーリングオフなどには、クーリングオフができる期間が定められています。
例えば
訪問販売の場合は、申し込み書面が交付された日から8日間となっています。
ですので、受取人に対して8日以内に配達しているということを証明できる手段としてこの配達証明は大切なものになります。
内容証明の効力は?
内容証明には法的拘束力はありません。したがって、内容証明を差し出して、受取人が代金の返金をしてくれなかったとしても、内容証明を差し出したことを理由に 強制執行や差押えなどをすることはできません。
あくまでも、内容証明は郵便局が
手紙を差し出したこと。手紙を差し出した日付。手紙の内容を証明するものです。
また、内容証明の大きな効果は2つあります。
受取人に心理的圧迫を与えること。
自身のことで考えてみれば、いきなり行政書士から内容証明が送られてきたら、かなり不安になると思います。このことによって、心理的圧迫や精神的プレッシャーを与えることができ、代金を返金しなければと思う方も多くいるのが現状です。
郵便局の証明
上述した通り、クーリングオフなどには期間が定められているものがあります。
このように、確実に手紙を差し出したということが証明できることにより、受取人から「そのような手紙なんて知らない」といったような言い逃れができないようにすることが期待できます。
まとめ
郵便局の内容証明とはどのようなものかについて書いてきました。
クーリングオフや契約の解除、損害賠償などの代金の返金を促したいが、裁判までおこしたくない。と考えている方も沢山おられます。そのような場合は一度、内容証明の作成を考えてみてはどうでしょうか?