日本国籍を取得することは、人生において大きな分岐点になります。
就職、結婚前に日本国籍にしたいという方や、日本に長く住んでいる外国人の方で、昇進などのために日本国籍を取得したいという相談が多くあります。
そこで、今回は日本国籍取得を考えている方に役立つことを書いていきます。皆様の参考になれば幸いです。
日本国籍取得には、どうすればいい?
日本国籍取得については法務省のホームページも参考にしてください。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji78.html
日本国籍取得の条件は?
日本国籍取得の条件は
国籍法では日本国籍を取得する原因を出生、届出、帰化の3つのパターンで規定されています。
1、出生
出生の時に父又は母が日本国民であるとき
出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき
日本で生まれ、父母がともに不明のとき、又は無国籍のとき
2、届出
認知された子の国籍の取得
国籍の留保をしなかった方の国籍の再取得
※(日本人夫婦の子が外国で生まれた場合、出生によって日本国籍と同時に外国の国籍を取得することがあります。この場合は出生の日から3ヶ月以内に、国籍留保の届出をしなければ、日本国籍を失うこととされています。)
その他の場合の国籍の取得
3、帰化
日本国籍の取得を希望する外国人からの意思表示に対して、法務大臣の許可によって、日本の国籍を与える制度です。
ちなみに、行政書士としては、帰化申請の業務を行うことができます。
日本国籍取得は難しい?
日本国籍を取得するには一定の要件が必要です。
上述した出生、届出は要件を備えることによって、法務局などに必要書類を提出し、届出たときに日本国籍を取得したことになります。
つまり、難易度で表すのは少し不適切かもしれませんが、要件さえ備えていれば、
日本国籍を取得することが可能になるので、難しくはありません。
しかし、上述した要件を備えていなければ、日本国籍取得の届出はできませんので、
誰でも届出によって日本国籍を取得できる訳ではありません。その観点から見ると、
難易度は高くなります。
帰化に関しても、住所条件、能力要件、素行要件などの条件を満たすことが前提になります。
その上で、法務局などに必要書類を提出することになります。
しかし、帰化申請においては必要書類が膨大になりますので、個人で帰化申請を行うと考えた場合は難易度が高くなります。
行政書士などの法務の専門家に任せること可能でしたら、効率的に書類作成をすることができます。
結婚すれば日本国籍を取得できるの?
現在の日本の国籍法には、結婚することによって外国人に日本国籍を付与する規定はありません。
つまり、結婚をしても外国人配偶者の国籍の変動はなく、日本国籍を取得することはできません。
外国人の配偶者が日本国籍の取得を希望する場合は、帰化申請によって日本国籍を取得することになります。
しかしその場合は、従来の普通帰化における要件よりも、居住要件や能力要件などが緩和されています。
例えば、居住要件に関しては
普通帰化の場合
引き続き5年以上日本に住んでいることが必要ですが
結婚している場合
引き続き3年以上日本に住んでいることが必要になる
といったように、要件が緩和されています。
緩和されているのは帰化の要件ですので、必要書類などは従来の普通帰化の場合と同様となります。
したがって、個人で帰化申請を行う場合は注意が必要です。
日本の永住権と国籍取得の違いは?
日本の永住権と国籍取得の大きな違いは、日本国籍を取得するかどうかです。
日本の永住権は、外国人が日本で活動するために必要となる在留資格の一種です。
つまり、永住権を取得した場合、国籍はそのままで日本に住むことが可能になります。
これに対し、国籍取得はその名の通り、日本の国籍を取得することになります。日本では二重国籍を認めていませんので、日本国籍を取得すると従前の国籍は喪失することになります。
そして、
永住権の申請は入国管理局
帰化等の日本国籍を取得する場合は、法務局
といったように、書類の申請先が異なってきます。
入国管理局、法務局ともに管轄は法務省となっております。
また、日本の永住権と国籍を取得した場合とでは、日本における権利も変わってきます。
例えば、
日本国籍を取得した場合
憲法においても
選挙権、被選挙権が保証されているので自由に国政に参加することができます。
これに対し、
永住権などの在留資格を取得した場合
憲法において
選挙権、被選挙権は保証されていませんので、自由に国政に参加することが難しくなります。
また、外国国籍のままだと一部を除く公務員になることができないなどといったように、日本国籍を取得するかどうかで活動できる範囲が変わってきます。
国籍取得と帰化の違いは?
国籍取得、帰化も双方においては、外国人が日本国籍を取得するということにおいて同様となります。
しかし、国籍取得には以下の要件が必要になります。
国籍法第3条には
父又は母が認知した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であったときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
と認知による国籍の取得について規定されています。
また
国籍法第12条には
出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたものは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼつて日本の国籍を失う。
と規定されています。
しかし、日本国籍を留保しなかったことによって日本国籍を喪失した子どもは、一定要件を満たす場合には
法務大臣に届出ることによって,日本国籍を再取得することができます。
つまり、届出によって国籍を取得するためには、上記のような要件が必要になります。
帰化の場合は、日本国籍を取得した外国人が自ら希望して、国籍を取得することになります。
したがって、上記の要件が満たされていなくても、帰化申請をすることで日本国籍を取得することが可能になります。
帰化申請によって日本国籍を取得するための要件には
居住要件
能力要件
素行要件
生計要件
国籍要件
思想要件
などの要件を満たす必要があります。
まとめると、国籍取得、帰化申請ともに日本国籍を取得することには変わりはありません。しかし、日本国籍を取得するための要件や申請方法などが異なるということです。
まとめ
今回は日本国籍取得について、詳しく書いてきました。当事務所でも帰化申請についての依頼を頂くことが多くあります。結婚、就職、昇進など依頼者の方によって、日本国籍を取得したい理由がそれぞれ異なってきます。
つまり、帰化申請をするにあたっては、申請者の生活状況に応じた書類が必要になってきます。そうなると書類が膨大になり、個人で申請をすることが難しくなります。
また、帰化申請は法律用語で特許と呼ばれており、法務大臣の広範な裁量によって許可、不許可の決定がなされます。
日本国籍を取得することは、人生における大きなターニングポイントになるはずです。
個人で、帰化申請により日本国籍を取得することが難しいと感じている方は、
法務の専門家である行政書士に一度ご相談ください。
日本国籍取得という新たなスタートのために、大きな力になってくれます。