「技術・人文知識・国際業務」や「経営管理」の在留資格を取得して、日本で活動している外国人の方の中には、母国で生活している家族を日本に呼んで一緒に生活を送りたいという方も多数存在しています。
その場合、在留資格「家族滞在」を取得することで妻(夫)や子供を日本に呼び寄せることができるようになります。
そこで、今回は「家族滞在」の在留資格(ビザ)について解説していきたいと思います。
「家族滞在」の在留資格(ビザ)の取得を検討している方の参考になれば幸いです。
以下の記事でも家族滞在ビザについて書いています。↓
・在留資格の一つ家族滞在のビザについて
家族滞在ビザとは
家族滞在ビザとは、日本で「技術・人文知識・国際業務」等の就労ビザを取得している外国人の方の扶養を受けている配偶者(妻)(夫)や子供が日本で一緒に生活をしていくための在留資格です。
扶養を受けるとは
ここで言われている扶養を受けるとは、原則として夫婦が同居して、経済的に扶養者に依存している状況です。
また、子供は監護・養育を受ける状態にあることを言います。
在留資格「家族滞在」を新規で取得し家族を呼び寄せる流れ
家族滞在ビザで家族を日本に呼び寄せる大きな流れは一般的に以下のようになります。
1,入国管理局に在留資格認定証明書交付申請
2,取得した在留資格認定証明書を母国の家族に送付
3,在留資格認定証明書を持参し、母国の家族が在外日本領事館に対してVISAの発給を申請
4,VISA発給後、渡日
5,日本に上陸後、空港で上陸審査
6,日本に入国
上記流れで家族滞在ビザで母国の家族を呼び寄せることになります。
在留資格認定証明書交付申請について
日本に滞在している外国人の方が、「家族滞在」ビザで家族を呼び寄せる場合、一般的な方法として、出入国在留管理局に対して、「在留資格認定証明書交付申請」を行う方法があります。
「在留資格認定証明書交付申請」を行うためには、在留資格認定証明書交付申請書等の書類を収集して、出入国在留管理局に提出します。
必要書類について
家族滞在ビザの申請で必要な書類は以下のとおりです。
1,在留資格認定証明書交付申請書 1通
2,証明写真(縦4㎝×横3㎝)
※申請前3カ月以内に正面から撮影された無帽、無背景で鮮明なもの。
※写真の裏面に申請人の名前を記載し、申請書の写真欄に添付。
3,返信用封筒(定形封筒に宛先を明記の上、404円分の切手(簡易書留)を貼付したもの)1通
4,次のいずれかで、申請人と扶養者との身分関係を証する文書
(1)戸籍謄本 1通
(2)婚姻届受理証明書 1通
(3)結婚証明書(写し)1通
(4)出生証明書(写し)1通
(5)上記(1)~(4)までに準ずる文書 適宜
5,扶養者のパスポート及び在留カードの写し 1通
6,扶養者の職業及び収入を証する文書
(1) 扶養者が収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行っている場合
a. 在職証明書又は営業許可書の写し等 1通
※扶養者の職業がわかる証明書を提出。
b. 住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 各1通
※ 1月1日現在お住まいの市区町村の区役所・市役所・役場から発行。
※ 1年間の総所得及び納税状況(税金を納めているかどうか)の両方が記載されている証明書であれば,いずれか一方でかまいません。
(2) 扶養者が上記(1)以外の活動を行っている場合
a. 扶養者名義の預金残高証明書又は給付金額及び給付期間を明示した奨学金給付に関する証明書 適宜
b. 上記aに準ずるもので,申請人の生活費用を支弁することができることを証するもの 適宜
などが必要になります。
もちろん、申請する方の生活状況等で、上記以外の書類も必要になることがありますので、上記書類は最低限必要である書類です。
また、英語以外の外国語で作成されている書類がある場合は、日本語の訳文も必要になりますので、注意が必要です。
家族滞在ビザで家族を呼ぶことができる在留資格について
家族滞在ビザで母国の家族を呼び寄せることができる在留資格は、以下のとおりです。
「教授」「芸術」「宗教」「報道」「高度専門職」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「介護」「興業」「技能」「特定技能2号」「文化活動」「留学」
上記在留資格で日本に滞在している外国人の方の扶養を受ける家族を呼ぶことができます。
また、当事務所でもよくある相談の1つに自身の「親」を呼びたいという相談を受けることがありますが、原則、呼ぶことができる家族は「配偶者(妻)(夫)」と「子供」ですので、勘違いしないように注意が必要です。
家族滞在ビザを新規で申請する時のポイント
家族滞在ビザを新規で申請する時に知っておきたいことをいくつか、記載していきます。
同居することが前提
家族滞在ビザを新規で申請する場合、申請者が扶養することが必要になります。そのため、家族を呼び寄せても一定の生活水準を維持できることを自身の収入等で証明する必要があります。
また、家族を呼び寄せて一緒に住むことが必要になりますので、家族滞在ビザで呼び寄せて、別居することは当然できません。
さらに、家族滞在ビザで呼び寄せた家族は、経済的に扶養者に依存していることが必要になるため、呼び寄せた配偶者や子供が経済的に独立している状態の場合は、家族滞在ビザで呼び寄せるための該当性が喪失してしまうため、事前に知っておく必要があります。
就労制限がある
家族滞在ビザは、日本で働くための在留資格ではありませんので、「永住権」等のように、正社員や起業する等で自由に働くことは認められていません。
パート等の一定の時間で働くことは可能ですが、この場合は資格外活動の許可を事前に取得しておく必要があります。
同性婚の場合
外国で合法的に成立している「同性婚」の場合は、「家族滞在」ビザではなく、「特定活動」ビザで在留資格を申請することができます。
子供の範囲
子供の範囲には、非嫡出子や養子も含まれます。
また、子供は親に経済的に依存している場合は、成年者に達していても申請はできます。
ただし、成年者が年齢が高齢になれば、申請の難易度が上がってきますので、合理的な理由が必要になります。
留学生の在留資格で呼び寄せる場合
留学の在留資格で日本で生活をしている外国人の方が、家族を呼び寄せたい場合は、以下に記載の外国人の方が対象になります。
1,大学もしくはこれに準ずる機関、専修学校の専門課程、外国で12年の教育を修了した者に対して日本の大学に入学するための教育を行う機関または高等専門学校 (夜学、通信教育は除く)
2,大学の夜間に授業を行う大学院の研究科
そのため、上記以外で「留学」の在留資格を取得している外国人の方の場合、家族滞在ビザで呼び寄せることができません。
まとめ
今回は、「家族滞在」ビザの新規取得について考えてきました。
在留資格の申請は、必要書類以外の書類の提出も求められることもあり、合理性が証明できないと不許可になる可能性があります。
そのため、申請取次行政書士等の法務の専門家に相談することも選択肢として有効です。
今回の記事が「家族滞在」ビザの申請を検討している方の参考になれば幸いです。