外国人の方が日本の企業で働く場合等、海外から日本来日し、生活を送るためにはその目的にあった在留資格を取得しなければなりません。
このように在留資格を新規で申請するような手続きを「在留資格認定証明書交付申請」と言います。
在留資格認定書交付申請は、その外国人の方が取得したい在留資格を与えることが妥当かどうかを出入国在留管理庁に疎明資料等を提出し、審査を経たうえで、認定書が交付されることになります。
そして、新規で在留資格認定書の交付申請を行う外国人の方が共通で必要になる書類が「在留資格認定証明書交付申請書」です。
そこで、今回は就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)における「在留資格認定証明書交付申請」の書き方や記入例等について考えていきたいと思います。
外国人の方の雇用を考えている企業の方や、これから新規で在留資格認定証明書交付申請を検討している外国人の方の参考になれば幸いです。
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在留資格認定証明書交付申請とは
在留資格認定証明書交付申請とは、日本に入国しようとする外国人の方が、日本で行おうとする活動内容がいずれかの在留資格(「短期滞在」及び「永住者」を除く)に該当するものである等の上陸のための条件に適合していることを証明するために、入国前にあらかじめ行う申請のことを言います。
そして、交付された在留資格認定証明書は、在外公館における査証申請や上陸申請の際に提出・提示することにより、速やかに査証発給や上陸許可を受けることが可能になります。
また、手続きの根拠法は、「出入国管理及び難民認定法第7条の2」で規定されています。
在留資格認定証明書交付申請書の書き方・記入例(申請人等作成用)
在留資格認定証明書交付申請書は、「申請人等作成用」と「所属機関等作成用」に分かれています。
申請人等作成用とは、在留資格認定証明書交付申請を行う外国人の方等が自ら作成する書類になります。
申請人等作成用は、2枚で構成されています。↓
以下ではまず、申請人等作成用のそれぞれについて、書き方を記載していきます。
写真の貼付
①写真
在留資格認定証明書交付申請を行う外国人の方の証明写真を貼付します。
注意点は以下のとおりです。
①写真のサイズは、縦4㎝×横3㎝
②無帽で正面を向いたもの
③提出日前3カ月以内に撮影されたもの
等が代表的な注意点です。
出入国管理在留管理局のホームページでは、以下のように公表されていますので、併せて掲載しておきます。↓
<参照:出入国管理在留管理庁のホームページより>
国籍・地域、生年月日、氏名、性別、出生地、配偶者の有無
②国籍
在留資格認定証明書交付申請を行う外国人の方の国籍を記載します。(台湾の方の場合は、台湾と記載しても問題ありません。)
③生年月日
在留資格認定証明書交付申請を行う外国人の方の生年月日を記載します。
西暦表示で記載するので、平成や令和等の和暦は使用しません。
④氏名
在留資格認定証明書交付申請を行う外国人の方の名前をフルネームで記載します。
なお、中国や台湾の方等で漢字表記を希望する場合は、次回の更新時に漢字表記を希望すれば、在留カードも漢字表記の氏名に変更してもらうことができます。
以下、漢字表記の方法について解説してます。↓
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⑤性別
在留資格認定証明書交付申請を行う外国人の方の性別を選択します。
⑥出生地
在留資格認定証明書交付申請を行う外国人の方の出生地を国名、都市名(市レベル)まで記載します。
⑦配偶者の有無
婚姻している場合は、配偶者「有」に〇を記載。
独身の場合は、配偶者「無」に〇を記載。
職業、本国における居住地、日本における連絡先、電話番号
⑧職業
在留資格認定証明書交付申請を行う外国人の方の職業を記載します。
大学生等の場合は「学生」と記載します。
給与所得を得て現在、働いている場合は「会社員」と記載し、収入がない場合は「無職」と記載します。
⑨本国における居住地
在留資格認定証明書交付申請を行う外国人の方の、本国(母国)の居住地を記載していきます。
⑨日本における連絡先
「技術・人文知識・国際業務」や「経営管理」等の就労ビザ等の場合で、海外から外国人の方の呼び寄せる時は、就職先の住所地を記載します。
在留資格「経営管理」については、以下の記事で詳しく解説しています。↓
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「日本人の配偶者等」や「家族滞在」の在留資格等で呼び寄せる場合は、既に日本で生活をしている配偶者等が存在しているので、その方の住所を記載します。
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⑩電話番号
電話番号についても、就労ビザのケースでは、就職先の電話番号を記載していきます。
⑪携帯電話番号
携帯電話については、⑩の電話番号を記載していれば、該当なしでも問題ありません。
ただし、就職先の担当者の方の携帯電話番号も記載しておけば、より丁寧な申請書になります。
旅券、有効期限、入国目的
⑫⑬旅券
旅券とは、「パスポート」のことを言います。
そのため、在留資格認定証明書交付申請を行う外国人の方のパスポート番号を記載してきます。
また、併せてパスポートに記載されている有効期限についても記載していきます。
パスポートの見本については、外務省のホームページでも公表されていますので、以下に抜粋しておきますので、参考にしてください。
<参照:外務省HP 旅券より一部抜粋>
⑭入国目的
今回、在留資格認定証明書交付申請書を取得する在留資格の種類にチェックを入れます。
入国予定年月日、上陸予定港、滞在予定期間、同伴者の有無、査証申請予定地
⑮入国予定年月日
在留資格認定証明書交付申請を行う外国人の方の日本に入国する予定年月日を記載します。
予定ですので、おおよその予定日で問題ありません。
ただし、在留資格認定証明書交付申請を行って数日で結果がでるということは、原則ありませんので、審査の日程も考慮して、2カ月~3カ月後の予定日を記載しておくことがベターです。
⑯上陸予定港
大阪で就職なら関西国際空港、東京なら成田国際空港等が該当してくると思います。
飛行機で日本に渡日すると思いますので、基本的には全国にある空港のいずれかが該当してくることになると考えられます。
⑰滞在予定期間
在留資格認定証明書交付申請を行った外国人の方の日本での滞在期間を記載していきます。
派遣社員等で雇用期間が決まっている場合は、その期間を記載します。
長期的に雇用する場合や、会社の代表に就任して日本で長期的に経営を行っていくようなケースでは、「長期」等と記載することになります。
⑱同伴者の有無
例えば、今回申請する外国人の方と一緒に「家族滞在」ビザ等で家族と一緒に日本に来日するようなケースでは、同伴者の有無の「有」に〇をすることになります。
1人で日本に来日する場合は、「無」に〇を付けます。
在留資格「家族滞在」については、以下の記事で詳しく解説しています。↓
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⑲査証申請予定地
「査証」とはビザのことを言います。
実務上、在留資格のことも「ビザ」と呼ぶことが多いですが、厳密に言うと、「査証」と「在留資格」は異なります。
本来的には「査証」=「ビザ」の意味を持ちます。
そのため、在留資格認定証明書が交付された後、現地の日本大使館(領事館)に在留資格認定証明書を持って行き、査証(ビザ)を申請することになります。
この、「査証(ビザ)」を申請する予定地をここでは記載します。
過去の出入国歴、過去の在留資格認定証明書交付申請歴、犯罪の有無、退去強制又は出国命令の有無
⑳過去の出入国歴
今回申請する外国人の方の過去の日本への出入国歴を記載していきます。
日本に入国したことない場合は、「0回」と記載して、直近の出入国歴は空欄で問題ありません。
出入国歴がある場合は、直近の出入国歴を記載します。
㉑過去の在留資格認定証明書交付申請歴
今回申請する外国人の方が、過去に在留資格認定証明書交付申請を行っている場合は、「有」に〇をします。
今回の申請が初めての場合は、「無」に〇をします。
また、申請歴がある場合は、「申請回数」「不交付(不許可)」になった回数も記載します。
㉒犯罪を理由とする処分を受けたことの有無
過去に犯罪を理由として処分を受けている場合は「有」に〇をします。
過去に犯罪を理由として処分を受けたことがない場合は「無」に〇をします。
「有」に〇をしたケースでは、具体的な犯罪や処分の内容を記載します。
また、ここでの犯罪には、日本国外におけるものを含み、交通違反等による処分も含まれますので、正直に記載しなければなりません。
㉓退去強制又は出国命令による出国の有無
過去に退去強制又は出国命令による出国がある場合は「有」に〇をします。
過去に退去強制又は出国命令による出国がない場合は「無」に〇をします。
また、「有」に〇をしたケースでは、その回数と直近の総還歴を記載します。
在日親族及び同居者
㉔在日親族及び同居者
今回申請する外国人の方の親族(父、母、配偶者、子、兄弟姉妹、祖父母、叔(伯)父、祖(伯)母等)及び同居者が日本で生活をしている場合は、記載します。
親族や、同居者がいない場合は、空欄or「該当なし」と記載します。
勤務先
㉕勤務先
今回申請する外国人の方が勤務する会社等の情報を記載していきます。
なお、本店以外の支店がある場合は支店名を記載し、所在地及び電話番号はその勤務することになる支店の情報を記載することになります。
最終学歴
㉖最終学歴、専攻・専門分野
今回申請する外国人の方の最終学歴を記載します。
大学名と卒業証書等に記載されている卒業年月日を記載します。
また、大学等で専攻した分野についても該当するものにチェックを入れます。
なお、「技術・人文知識・国際業務」等の在留資格では、資格該当性が重要な審査ポイントになるため、雇用することになる外国人の方と、雇用先で行う業務の該当性があるかどうか?ということは、慎重に検討しなければなりません。
情報処理技術者の資格又は試験合格の有無
㉗情報処理技術者の資格又は試験合格の有無
法務省から告示されている情報処理技術に関する試験に合格している場合は「有」に〇をし、具体的な資格名や試験名を記載します。
特に資格等がない場合「無」に〇をします。
情報処理技術に関する試験は、以下の出入国在留管理庁ホームページで公表されていますので参考にしてください。↓
職歴
㉘職歴
今回申請する外国人の方の職歴を記載します。
職歴が多く、複数あり、申請書に書ききれない場合は、「別紙参照」と記載し、別で職務経歴書を作成して提出します。
また、大学を卒業して就職するようなケースで、職歴がない場合は、「該当なし」と記載します。
申請人、法定代理人、法第7条の2第2項に規定する代理人
㉙申請人、法定代理人、法第7条の2第2項に規定する代理人
(1)の氏名には、雇用会社の社長等が氏名を記載します。
(2)の欄には、雇用主等を記載します。
(3)の住所・電話番号は、会社の所在地や電話番号でも問題ありません。
また、「以上の記載内容は事実と相違ありません。」には、必ず署名で記載する必要があるので注意が必要です。
そして、取次者の欄は、行政書士等の取次者が記載しますので、行政書士等に依頼していない場合は、空欄にしておきます。
在留資格認定証明書交付申請書の書き方・記入例(所属機関等作成用)
上記では「申請人等作成用」の申請書の書き方を解説してきました。
ここからは残りの「所属機関等作成用」の書き方について記載していきます。
所属機関作成用1
㉚契約又は招へいするが外国人の氏名
契約又は招へいする外国人の氏名には、今回申請する外国人の氏名を記載します。
㉚契約の形態
契約の形態には該当するものを選択しチェックをつけます。
㉚所属機関等契約先
(1)には雇用する会社名を記載します。
また、当該会社の法人番号(13桁)も記載します。
法人番号については、国税庁のホームページから検索することができます。↓
(3)には支店や事務所があれば記載します。
(4)には雇用保険適用事業所番号(11桁)を記載します。
雇用保険適用事業所番号は、「従業員の雇用保険被保険者の資格取得届」や「資格喪失届の事業主控」、「雇用保険適用事業所設置届事業主控(適用事業所台帳)」等に記載されています。
㉚業種
在留資格認定証明書交付申請書の別紙に添付されている「業種一覧」から該当する業種を記載します。↓
㉚所在地、電話番号、資本金、年間売上高
会社の所在地及び電話番号を記載します。
また、申請時点での資本金の額も記載します。
年間売上高については、直近年度のものになりますので、自社の決算書等の売上高を参照し、記載することになります。
㉚従業員数、外国人授業員数
非常勤を含む、会社の従業員数を記載します。
また、従業員数の内、外国人従業員数も記載します。(いない場合は0と記載。)
外国人従業員がいる場合で、技能実習生が含まれている場合は、技能実習生の人数も記載します。
㉚研究室、就労予定期間、雇用開始年月日
研究室に所属する場合は、研究室の名称及び指導教員の氏名を記載します。
該当しない場合は、空欄で問題ありません。
また、就労予定期間には、派遣など、期間の定めがある場合は、雇用契約書に記載されている契約期間を記載します。
雇用開始(入社)年月日には、入社年月日を記載します。
㉚給与・報酬、実務経験年数、職務上の地位
雇用契約書に記載されている給与等を記載します。
年俸制等の場合は年額にチェックを入れ、月額で支払う場合は月額にチェックを入れます。
なお、就労ビザで雇用する場合は、外国人と日本人の給与が同等であることが求められますので、不当に低い給与等は認められません。
㉚職種
今回申請する外国人の方が従事する職種について、申請書別紙から選択して記載します。↓
㉚活動内容詳細
今回申請する外国人の方が行う活動の詳細を記載します。
通常、雇用理由書等を作成し、雇用する外国人の方と従事する業務等が正当であることを疎明します。
そのため、活動内容詳細には「別紙雇用理由書参照」等と記載しても問題ありません。
派遣先等
㉛派遣先等
派遣会社の社員として契約する場合等は、派遣先の情報等を記載していきます。
所属機関等契約先の名称、代表者氏名
所属機関等契約先の名称、代表者氏名
最後に申請する外国人の方が雇用される会社の名称、代表者の氏名、申請書作成年月日を記載します。
在留資格認定証明書交付申請書の記入例
上記で記載した書き方から、在留資格認定証明書交付申請書の記入例を以下に掲載しておきます。↓
まとめ
今回は在留資格認定証明書交付申請書の書き方や記入例について解説をしてきました。
もちろん、在留資格認定証明書交付申請書だけではなく、外国人の方が在留資格認定証明書を交付するための該当性があるかどうか等、他の書類も添付して、立証していく必要がありますので、複雑な手続きになります。
そのため、新規で在留資格認定証明書を申請したいと思われている方は、法務の専門家である行政書士に相談すると、効率的に手続きを進めていくことができますので、選択肢の1つとしてぜひご検討ください。
今回の記事が、在留資格認定証明書の申請を検討している方の参考になれば幸いです。
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