建設業許可

電気工事における建設業許可(登録)について徹底解説

建設業における許可は29業種あり、それぞれの実状に応じて許可を取得することになります。

また、一般的に軽微な工事(例えば500万円未満の工事)の場合は、建設業許可を取得しないでも工事を請け負うことができます。

ただし、「電気工事」や「解体工事」等を行うようなケースでは、500万円未満の工事を請け負う場合でも「登録」が必要になります。

そこで、今回は電気工事における建設業許可について考えていきたいと思います。

電気工事で建設業許可の取得を検討している方の参考になれば幸いです。

建設業許可全般については、以下の記事で解説をしているので参考にしてください。↓

電気工事とは


電気工事で建設業許可を取得するにあたり、電気工事の内容は概ね以下の建設工事が該当します。

発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事

例えば、

・発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備(非常用電気設備を含む。)工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事

等が代表的な工事です。

電気工事には許可と登録が存在する

電気工事で建設業許可を取得しなければならないケースは、上記で記載した建設工事等の請負代金が500万円以上になるような場合です。
これは、建設業法に規定されているため許可の手続きが必要です。

そのため、通常500万円未満のケースでは、建設業許可は不要となり、登録等の手続きも必要ありません。

ただし、電気工事を行う場合は、500万円未満の工事であっても、「電気工事業登録」が必要になります。

電気工事業登録とは


電気工事業登録には、大きく「登録電気工事業者」「みなし登録電気工事業者」「通知電気工事業者」「みなし通知電気工事業者」の4つの種類が存在しています。

これは、電気工事業法に規定されているため、電気工事業を営む場合には、都道府県知事又は経済産業大臣へ登録等が必要でなります。

以下で簡単に各電気工事登録について解説をしていきます。

登録電気工事業者

一般用電気工作物等のみ又は一般用電気工作物等及び自家用電気工作物の電気工事を取り扱う場合、登録電気工事業者の登録が必要です。
なお、電気工作物は電気事業法で区分されています。

一般用電気工作物等とは

一般用電気工作物等とは、600ボルト以下で受電または一定の出力以下の小規模発電設備で、受電線路以外の線路で接続されていないなど、安全性の高い電気工作物のことを指します。

例えば、

一般家庭・商店・小規模の事務所等の屋内配線や一般家庭用の太陽電池発電設備

等が該当します。

自家用電気工作物とは

自家用電気工作物とは、事業用電気工作物のうち、電気事業の用に供する電気工作物以外のものを指します。
そして、このうち、最大電力500キロワット未満の需要設備の電気工事を行う場合に電気工事の登録が必要になります。

例えば、

ビルや工場などの屋内外配線

等が該当します。

ここで、注意しなければならないポイントは、自家用電気工作物の電気工事を行う場合には、第一種電気工事士の免状が必要になるというところです。

登録電気工事業者に必要となる資格・費用・期間は?

登録電気事業者に登録するためには一定の条件を満たす必要があります。

条件のうち最も重要なものは、登録電気工事業者になるためには主任電気工事士を設置しなければならないというところです。

主任電気工事士になるための条件は、第一種電気工事士又は第二種電気工事士の資格を取得していることが求められます。

また、第二種電気工事士の場合は、免状の交付を受けた後、3年以上の電気工事における実務経験を有することが必要になるので、忘れないようにしなければなりません。

ちなみに、主任電気工事士については、代表者が兼任することも可能です。(一人親方等の場合)

一人親方が建設業許可を取得する場合については、以下の記事で解説をしています。↓

費用について

登録電気工事業者になるための費用については、登録先の都道府県等に支払う法定手数料22,000円が必要になります。
その他、交通費や書類取得費(法人の場合は登記事項証明書等)で数百円~数千円の費用が別途かかってきます。

この手続きを行政書士に依頼することもできるので、依頼した場合には上記費用以外に報酬としての費用も発生します。

登録までの期間について

登録までの期間は概ね2週間程度の期間が必要になります。

また、大阪府の場合は、事前に書類をファックス等で送った後に、申請になります。(各都道府県で申請方法等に違いがあるので、注意が必要です。)

みなし登録電気工事業者

みなし登録電気工事業者とは、建設業許可を取得している業者が電気工事を自社で施工するようなケースで必要になる登録です。
つまり、建設業許可取得をした事業者が許可取得後、必要になります。

条件や費用について

基本的には上述した登録電気工事業者の条件と同様です。(主任電気工事士の配置

ただし、費用については届出のため法定費用は不要なので0円です。

こちらも行政書士に依頼することができるので、依頼した場合は別途報酬が発生します。

通知電気工事業者

通知電気工事業者は、自家用電気工事のみを扱う場合に必要となります。

自家用電気工事のみを扱う事業者はあまり多くないため、登録数は上述した登録電気工事業者等に比べ少なくなっています。

費用について

通知電気工事事業者については、第一種電気工事士が事業所に在籍していることが求められます。

費用については、法定費用がかからないので0円です。

また、行政書士にも依頼することができるので、依頼した場合は別途報酬が発生します。

みなし電気工事業者

みなし電気工事業者とは、自家用電気工事のみを行い、加えて建設業許可を取得している場合に必要な登録です。

資格については、通知電気工事業者と同様に第一種電気工事士が事業所内に在籍していることが求められます。

費用について

費用については、こちらも法定費用がかからないので0円です。

また、行政書士にも依頼することができるので、依頼した場合は別途報酬が発生します。

建設業許可?それとも登録?


ここで問題になるのが、電気工事を行う場合には、「許可」が必要なのか、それとも「登録」が必要になのか?という点です。

電気工事事業者登録のみで良いケース

電気工事を行う際に、その行う工事の材料費を含め税抜きで500万円未満の工事を請け負う場合には電気工事事業登録だけで問題はありません。

電気工事業登録と建設業許可両方が必要なケース

電気工事を行う際に、その行う工事の材料費を含め税抜きで500万円以上の工事を請け負う場合には電気工事登録と建設業許可の両方の取得が必要になります。

電気工事で建設業許可を取得するための条件は?


建設業許可を取得するためには、様々な条件をクリアしていく必要があります。

具体的には、以下の条件をクリアする必要があります。

常勤役員等(経営業務管理責任者)

建設業許可を取得するためには、経営経験等を証明する必要があります。
以下の記事で、解説していますので参考にしてください。↓

専任技術者

建設業許可取得にあたり、事業所内に常勤の専門知識をもった専任技術者が在籍していることが求められます。
以下の記事で専任技術者について解説をしているので参考にしてください。↓

財産要件

許可取得にあたり、財産的基盤がしっかりしていることを疎明する必要があります。
一般的な財産的基盤の疎明については、以下の記事で解説をしています。↓

その他、「誠実性」「欠格要件に該当していないこと」等の条件もありますが、上記3つが重要なポイントになります。

また、併せて営業所の存在も疎明する必要があるので忘れないよに注意が必要です。
営業所については、以下の記事で解説しています。↓

電気工事の建設業許可取得で専任技術者と認められる資格は?


電気工事の許可を取得するにあたり、以下の国家資格等があれば、実務経験(資格によっては多少の実務経験が必要)が免除又は軽減されます。

・1級電気工事施工管理技士
・2級電気工事施工管理技士
・技術士法「技術士試験」 建設・総合技術監理(建設)
・技術士法「技術士試験」 建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」)
・技術士法「技術士試験」 電気電子・総合技術監理(電気電子)
・第1種電気工事士
・第2種電気工事士※資格取得後3年の実務経験が必要
・電気主任技術者(1種~3種)※資格取得後5年の実務経験が必要
・建築設備士※資格取得後1年の実務経験が必要
・計装※資格取得後1年の実務経験が必要

まとめ


今回は建設業における電気工事の許可(登録)について考えてきました。
建設業許可は多くの書類が必要であり、経営経験や実務経験なども証明していく必要があります。
そのため、多くの労力がかかってくるので、専門家である行政書士に依頼する方法も有効な選択肢となります。

今回の記事が電気工事で建設業許可取得を検討している事業者の方の参考になれば幸いです。

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