ウェブサイト等を通して、商品を販売する場合は利用規約やプライバシーポリシーなどの規定をしっかりと作成しておくことが重要になります。
また、それ以外にも気をつけるべきことに、特定商取引法に基づく表示があります。
今回は、通信販売(ネットショップ)などで商品を販売する時に必要となる、特定商取引法に基づく表示について書いていきます。
ウェブサービスを利用して商品の販売を検討している方の参考になれば幸いです。
特定商取引法とは?
特定商取引法とは、訪問販売や通信販売などの、消費者トラブルを生じやすい取引を対象に、事業者が守るべきルールや、クーリング・オフ等の消費者を守るルールを規定している法律になります。
特定商取引法による規制の対象となる取引は
訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売取引、訪問購入
などの取引類型が、特定商取引法による規制の対象になります。
通信販売(ネットショップ)を始める場合は
多くの事業者は、利用規約やプライバシーポリシーの他に、特定商取引法に基づく表示というページを作成しています。
では、特定商取引法に基づく表示において求められる表示はどのようなものがあるのでしょうか?
特定商取引法に基づく表示に求められる事項
以下の事項を表示することが求められます。
対価・送料
商品の対価を記載していくことになります。
商品ごとに対価が異なる場合は、商品ごとに記載などと記載し、各商品照会ページに記載する方法が一般的になります。
また、送料については、実際に必要となる送料について明確に記載することが求められます。
つまり、○円〜という表示ではだめで、明確に記載しなければなりません。
支払時期と支払方法
支払時期は前払いや、後払いなどの旨を記載し、後払いの場合については、具体的な支払期限を記載していくことになります。
支払方法についても、代金引換やクレジット決済、銀行振込など対応しているものを全て記載しなければなりません。
商品の引き渡しの時期・サービスの提供時期
引き渡し時期についても、期間・期限を明確に記載する必要があります。
事業者の名称・住所・電話番号など
法人の場合は、登記されている商号や住所を記載する必要があります。
また、個人で事業を行っている場合は、氏名や連絡可能な電話番号を記載する必要があります。
返品について
通信販売にはクーリング・オフの制度はありません。しかし、特定商取引法上では、購入してから8日間は、ユーザーの実費で返品ができることになっています。
したがって、返品について記載(特約)の表示(ユーザー都合での返品は一切受け付けることができない等)をしておくことで、ユーザーの都合で商品の返品を受け付ける必要がなくなります。
申し込み期限
申し込みの有効期限がある場合は、申し込みの有効期限を記載しなければなりません。
対価・送料以外にユーザーが負担する金銭がある場合
キャンセル料などが発生する場合は、その旨を明確に記載する必要があります。
不良品等、商品に隠れた瑕疵がある場合について
利用規約にも、盛り込まれる内容になりますので、利用規約のリンク等を貼り、参照させるケースもあります。
取引類型によっては、規制の厳しさが変わる
特定商取引法は、取引類型によっては規制の厳しさが異なるので、注意が必要です。
例えば、ネット販売の場合は、損害賠償額の制限の規定はありませんが、訪問販売には損害賠償額の制限の規制があるといったように、規制の対象が異なってくるので、慎重に考えていく必要があります。
通信販売では、大丈夫だったからと、訪問販売においても同じ考えで行った場合は、特定商取引法違反に問われる可能性があります。
その他、気をつけておきたい法律について
ウェブサービスを行うにあたって、著作権法や個人情報保護法、特定電子メール法など気をつけておきたい法律は多くありますが、ここでは、消費者契約法について簡単にまとめておきます。
消費者契約法の目的については、第1条にその目的が規定されています。
消費者契約法第1条
この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とするほか、消費者の被害の発生又は拡大を防止するため適格消費者団体が事業者等に対し差止請求をすることができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
つまり、事業者が不適切な勧誘などによって、消費者と契約を締結した場合についてはその契約の取消しを認めているということになります。
不適切な勧誘とは
①不実の告知
契約内容の重要な部分について、事実と違う説明をすること
②断定的判断の提供
絶対儲かるなど、将来の利益について不確実であるのに、確実であるかのように勧誘すること
③不利益な事実の故意の不告知
事業者にとって不利益になる事実を故意に説明せず、消費者の利益になることだけを説明すること
上記のような場合は、消費者契約法により契約を取消すことができるようになります。
まとめ
ウェブサービスを利用して、通信販売(ネットショップ)などを事業として行う場合は、特定商取引法に基づく表示などに気をつけていかなければなりません。
また、それ以外にも利用規約やプライバシーポリシーなどもしっかりと作成して、不測の事態が起こった時に、対応することができる状態を作っておくことも大切になります。
利用規約の作成については、行政書士等の法務の専門家などに相談することもお勧めですので、一度検討してみても良いかもしれません。
今回は、通信販売(ネットショップ)で必要になる特定商取引法に基づく表示について書いていきました、
皆様の参考になれば幸いです。