リサイクルショップやネットオークションなどで中古品等の売買を行う場合は、古物商の許可を取得する必要があります。
また、最近では遺品整理業者の方からも弊所に古物商の許可を取得したいという相談を頂くことも多くあります。
古物商の許可は、各都道府県の公安委員会から許可の取得(実際は、営業地を管轄する警察署に書類を申請することになります。)をする必要があります。
今回は、古物商許可を取得することができない者(欠格事由)について、また古物商許可の取り消しについて考えていきたいと思います。
古物商許可の取得を考えている事業主の方、又は法人経営者の方の参考になれば幸いです。
古物商許可の欠格事由とは?
リサイクルショップなどの中古ビジネスを始めるためには、古物商の許可を取得する必要があります。
しかし、この古物商の許可は誰でも取得することができるという訳ではありません。
古物商の許可を取得するためには、一定の資格基準があり、その基準を満たすことができなければ許可を受けることができません。
この資格基準のことを欠格事由といいます。
欠格事由と聞くと、とても厳しいものと感じてしまいますが、この欠格事由については、日常生活を普通に送っていればとくに厳しいものではなく、問題なく資格基準自体はクリアできます。
古物商の許可を受けられない人は?
以下の内容に当てはまる場合については、古物商の許可を取得することができません。
成年被後見人・被保佐人・破産者であって復権を得ない者
民法では「事理を弁識する能力を欠く者で、家庭裁判所から後見開始の審判を受けたもの(一部抜粋)」をいう。とされています。
つまり、成年被後見人や被保佐人として登記されている場合は、古物商の許可を取得することができません。
また、破産者であって復権を得ていない者とは、破産の免責許可の決定がされていない者をいいます。
言い換えると、破産者であっても免責許可がされている場合は、古物商の許可を取得することができます。
登記されているかどうかについては、法務局で「登記されていないことの証明書」を取得することで証明することができます。(古物商の許可を取得するには、「登記されていないことの証明書」は貼付書類として必要になります。)
処罰されて5年を経過していない者
禁固以上の刑に処罰されるか、古物営業法や刑法(背任等)に違反し罰金刑に処せられた人で、執行が終わった日から、あるいは執行を受けることのなくなった日から5年以上経過していない者の場合については、古物商の許可を取得することはできません。
住所の定まらない者
住所不定者については、古物商の許可を取得することはできません。
許可の取り消しから5年を経過していない者
営業停止処分等の規定によりその古物営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して5年を経過しない者については、古物商の許可を取得することはできません。
聴聞公示後から取り消し前に古物商許可証を返納
営業停止処分等の規定による許可の取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日から、当該取消しをする日又は当該取消しをしないことを決定する日までの間に古物商許可証の返納をした者で、当該返納の日から起算して5年を経過しないものは、古物商の許可を取得することができません。
つまり、聴聞をしますと言われて、事業者が古物商の許可を取消される可能性があると思い、古物商の許可の取り消しをされる前に、古物商許可証を返納することで取り消し処分を避けようとすることをいいます。
このケースでは、許可証を返納したとしても、返納した日から5年を経過するまでは古物商の許可を取得することができなくなります。
聴聞については、事項で簡単に解説していきます。
営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者
未成年者とは、20歳未満の者をいいます。
ただし、未成年者が古物商又は古物市場主の相続人であつて、その法定代理人が欠格事由のいずれにも該当しない場合は、古物商の許可を取得することができます。
また、法定代理人から許可を受けている未成年者も、許可を取得することが可能ですが、その場合は商法上において登記を受けていることが必要になります。
法人の場合は役員も欠格事由に該当しないこと
法人が古物商の許可を取得する場合については、代表取締役だけではなく、他の役員についても上記欠格事由に該当しないことが求められるので、注意が必要です。
聴聞とは?
欠格事由のところで、聴聞という文言がでてきましたが、聴聞とはどのようなものなのでしょうか?
聴聞
聴聞とは、行政手続法に規定されています。
聴聞を一言で簡単にまとめると、
行政機関が、古物商の許可の取り消しなどの処分をする前に、相手方その他の関係人に意見を述べる機会を与えましょうということです。
古物商の許可が取り消される場合は?
古物商の許可が取り消される場合については、以下のケースになります。
古物商許可の取り消し事由
1、偽りその他不正の手段により許可を受けたこと。
2、欠格事由(法人の役員が欠格事由に該当しているケースは除かれています。)のいずれかに該当していること。
3、許可を受けてから6月以内に営業を開始せず、又は引き続き6月以上営業を休止し、現に営業を営んでいないこと。
4、古物商の当人が3ヶ月以上所在不明であること。
上記ケースの場合においては、古物商の許可が取り消されることになります。
したがって、1年後に中古品等を扱うビジネスを始めたいから、とりあえず現段階で古物商の許可だけ取得しておくという考えは、古物商の許可が取り消される可能性がありますので注意が必要です。
まとめ
中古品等を扱うビジネスを行う場合については、古物商の許可が必要になります。
また、古物商は許可制なので、許可を取得できない場合(欠格事由)や許可自体が取り消されることがありますので、注意が必要です。
古物商の許可については、書類等も収集・作成する必要がありますので、法務の専門家である行政書士に依頼することも効率良く、許可を取得するための有効な手段だと思いますので、一度検討してみてはどうでしょうか。