外国人の方が、日本人と結婚して日本に滞在することを決めた場合は、日本人の配偶者等の在留資格(ビザ)(以下、配偶者ビザ)を取得するという方法があります。
最近では、偽装結婚等も多くあり入国管理局も審査も厳しくなっていますので、配偶者ビザを取得するためには事前に準備をしっかりする必要があります。
今回は、配偶者ビザの申請を考えている方に役立つことを考えていきます。
大阪で配偶者ビザの申請を考えている方の参考になれば幸いです。
配偶者ビザの更新を検討している方は、以下の記事で解説をしています。↓
2022.04.27
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日本人の配偶者等のビザとは?
日本人の配偶者等は、日本人の配偶者、日本人の特別養子股は日本人の子として出生した者を、日本に受け入れるために設けられた在留資格でです。
出入国管理及び難民認定法によれば、以下のように規定されています。
日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者
と規定されています。
配偶者ビザの対象になる人は?
配偶者ビザの対象になる外国人の方は、大きく3つに分けることができます。
①日本人の配偶者
②日本人の特別養子
③日本人の子として出生した者
上記3つのうちいずれかに該当する外国人の方は、日本人の配偶者等の在留資格を受けるための、身分又は地位を有することになります。
日本人の配偶者の身分を有する者
ここでいう「配偶者」とは、現実に婚姻関係中の者をいいます。
言い換えると、「配偶者ビザ」の在留資格に該当するのは、現に日本人と婚姻している外国人ということです。
つまり、相手方の配偶者が死亡した者や離婚した者は含まれていません。
また、婚姻とは法的に有効な婚姻であることが必要となり、事実婚等は含まれません。
さらに、法的には婚姻が成立していても、実際は同居をしていない場合などについては、日本人の配偶者としての活動を行うとは認められず、配偶者ビザを取得することはできません。
法的に結婚しているということは、同居し、互いに協力・扶助しあうことは当然であると考えられるからです。
日本人の特別養子の身分を有する者
ここでいう特別養子とは、法律上の特別養子の身分を有している者をいいます。
つまり、一般の普通養子縁組は認められていないことになります。
特別養子縁組が成立するには、民法の規定に基づいて家庭裁判所の審判により成立することが必要になります。
また、そのことにより生みの親との身分関係を切り離し、養父母との間に実子とほぼ同じ関係が成立することになります。
日本人の子として出生した者も身分を有する者
ここでいう日本人の子として出生した者とは、日本人の実子のことをいいます。
つまり、「日本人の子として出生した者」とは、その者の出生の時点においてその者の父母の少なくとも一方が日本国籍を有するものであった外国人の方のことを言います。
また、外国人の出生前にその者の父が死亡したケースにおいて、その父が死亡時に日本国籍を有していた場合にも、その者は「日本人の子として出生した者」に該当することになります。
また、嫡出子、認知された嫡出でない子も含まれます。
ただし、養子は含まれないので注意が必要です。
配偶者ビザの申請に必要な書類は?
外国人の方が配偶者ビザの新規取得申請をする場合は、以下の書類が必要になります。
1、配偶者(日本人)の戸籍謄本
2、配偶者(日本人)の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書
3、配偶者(日本人)身元保証書
4、日本人の世帯全員の記載のある住民票
5、質問書
6、スナップ写真
7、身元保証人の印鑑
8、申請人(外国人)の顔写真
9、申請人の国籍国(外国)の機関から発行された結婚証明書
10、在留資格認定証明書交付申請書
等の書類が必要になります。
もちろん、申請者の状況に応じて適宜追加で必要書類が必要になるケースもあります。
配偶者ビザの申請するための書類を準備する際の注意点は?
上記書類を準備する際の注意点は以下の通りです。
1、住民票等の官公署等から取得する書類は、全て発行日から3ヶ月以内のものを提出する必要があります。
2、提出資料が外国語で作成されている場合は、日本語訳が必要になります
3、提出資料は原則として返却はされません。(ただし、原本が1通しか発行されない場合は、その旨を理由書として添付すれば返却してくれることもあります。)
4、スナップ写真は、夫婦で写っているもの。また、容姿がしっかりと確認できるものが必要になります。
5、上記書類の他に、審査過程で他の書類の提出を求められることがあります。
申請書類にある質問書とは?
質問書とは、申請人(外国人)と配偶者(日本人)の出会った経緯や結婚式の有無、紹介者がいる場合はその者の詳細、夫婦が日常会話で使用する言語等を詳細に記載する書面になります。
この質問書は審査過程で重要な部分を占めることになり、適当に書くと偽装結婚等の疑義が生じ、不許可になる可能性がありますので、必要があれば別紙を添付して、詳細に記載していく必要があります。
配偶者ビザの申請で不許可になりやすいケースは?
日本人と結婚をしたからといって必ず「配偶者ビザ」が認められるという訳ではありません。
配偶者ビザの申請において、申請時に特に注意しなければならないことについて以下に記載していきます。
知り合ってから結婚するまでの期間が短いケース
夫婦が知り合ってからの期間や交際期間が短い状態で結婚をした場合、偽装結婚を疑われる可能性があり、審査が厳しくなります。
交際期間等が短い状態で結婚し、配偶者ビザを申請する場合は、「なぜ、短い期間で結婚をすることを決意したのか?」等の書面を準備し、提出する必要があります。
結婚するまでにお互いに会った回数が少ないケース
上記で記載した結婚するまでの期間が短いケースと少し重複しますが、結婚するまでに2人で会った回数が少ないケースにおいても、偽装結婚を疑われる可能性があり、審査が厳しくなります。
このケースでも、「なぜ、会った回数が少ないのか?」等を詳細に説明することが求められます。
夫婦の年齢差が離れているケース
最近では、歳の差婚という言葉を使われるようになりましたが、夫婦二人の年の差が大きく離れているケースにおいても、偽装結婚を疑われる可能性があり、審査が厳しくなります。
このようなケースでも、結婚を決意した過程や夫婦としての実態があること等を書面で立証してくことが求められます。
夫婦双方の家族に会ったことがないケース
上述した質問書を作成する際に、夫婦の家族の情報を記載することが求められます。
結婚することは個人の自由ではありますが、結婚をする場合、夫婦の両親等に紹介することが一般的であると考えられています。
したがって、お互いの家族に会ったことがない場合は、偽装結婚を疑われる可能性があり、審査が厳しくなります。
そのため、可能な限り、家族と一緒にいる写真等も申請する際に添付できるようにしておくと印象が良くなります。
SNSや婚活アプリ等で知り合ったケース
最近では、婚活アプリを使用して、結婚まで至るケースも珍しいことではなくなりました。
しかし、配偶者ビザの申請においては、書面で全てを立証する必要があるため、知り合った経緯等を詳細に説明する必要があります。
写真やメール等のやり取りした履歴がないケース
配偶者ビザの申請では、夫婦が一緒に映った写真等を提出することになります。
また、頻繁にやり取りをしていたことを立証するために、SNS(LINE等)のコミュニケーションツールでやり取りをしていたことを示す書類を提出することになります。
そのため、写真が1枚も提出できない場合や、やり取りの履歴が全くない場合等は、夫婦の関係性を示すことが難しくなり、不許可の可能性が高くなります。
言葉によるコミュニケーションが取れないケース
例えば、夫が日本人で妻が中国人の場合、夫は日本語しか話すことができず、妻は中国語しか話すことができないようなケースでは、夫婦間でのコミュニケーションを取ることが難しくなります。
そのため、意思疎通ができないのにどうやって生活をしていくのか?というところで疑義が生じ、偽装結婚を疑われる可能性があり、審査が厳しくなります。
このようなケースでは、意思疎通が取れない中でどのように生活を送っていくのか?等を詳細に立証していく必要があります。
前婚からの再婚期間が短いケース
一度離婚をした外国人の方が、短い期間で再婚をしたようなケースでは、配偶者ビザを取得するための結婚ではないのか?と疑義が生じますので、審査が厳しくなります。
そのため、夫婦が出会った経緯等を詳細に書面で立証していくことが求められます。
配偶者ビザが不許可になりやすいケースのまとめ
上記で記載した配偶者ビザが不許可になりやすいケースをまとめると
・知り合ってから結婚するまでの期間が短いケース
・結婚するまでにお互いに会った回数が少ないケース
・夫婦の年齢差が離れているケース
・夫婦双方の家族に会ったことがないケース
・SNSや婚活アプリ等で知り合ったケース
・写真やメール等のやり取りした履歴がないケース
・言葉によるコミュニケーションが取れないケース
・前婚からの再婚期間が短いケース
上記ケースを考えることができます。
また、当然、安定して生活ができることや素行が善良(税金の未納等がないこと等)も審査過程でチェックされるので、忘れないようにしなければなりません。
配偶者ビザと家族滞在ビザの違い
配偶者ビザの取得を検討している方の中には、家族滞在ビザとの違いがわからないという方も多数いらっしゃいます。
そこで、簡単に配偶者ビザと家族滞在ビザの違いについて記載していきます。
就労制限について
・配偶者ビザ(就労制限がないため、日本人と同様に就労することができる。)
・家族滞在ビザ(資格外活動許可を取得しなければ就労が認められない。また、資格外活動許可を取得しても就労できる職種や時間に制限がある。)
扶養義務
・配偶者ビザ(扶養を受けることは要件とされていない。そのため、日本人である配偶者を扶養する外国人も対象となる。)
・家族滞在ビザ(日本に在留する外国人の家族で、その外国人の扶養を受けることが要件)
代表的な違いとして上記2つがあります。
家族滞在ビザについては、以下の記事でも解説をしています。↓
2021.10.24
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まとめ
配偶者ビザに限らず、他の在留資格についても、申請人(外国人)が日本に来ることが正当なものであるということを書面だけで立証していく必要があります。
当然、上記で記載した書類以外にも添付書類が必要になることが多いので、在留資格の申請を簡単に考えていると、不許可になる可能性があります。
また、報酬を得て、入国管理局に在留資格の申請等の取次ぎを行うことができる者は、申請取次の届出をした行政書士等となります。
それ以外の者が、報酬を得て申請をすることは違法となりますので、注意が必要です。
就労ビザで生活をしている外国人の方が配偶者ビザへの変更を検討している場合は以下の記事も参考にしてください。↓
2022.07.06
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