行政書士試験でも大切な権利能力なき社団・意思能力・行為能力について書いていきます。
では権利能力なき社団から
権利能力なき社団について
権利能力なき社団になるための要件は4つです。
全て言えるようにしてください。
そして権利能力なき社団名義で 不動産登記はできません。(余談ですが裁判、不服申立ては権利能力なき社団名義ですることはできます。)
では、どのように登記をするのか?
2つのパターンがありましたよね。要チェックです。
また、権利能力なき社団の財産は社団構成員の総有に属します。
総有とは潜在的な持分すら認められず、使用収益権しか認められないということです。
つまり構成員はに持分の処分は自由に認められていません。(総有は持分がないので当然です。)
そして権利能力なき社団の債務は個人は責任を負うのか?責任財産の範囲はどこまでか?確認してください。
※ちなみに、共有、合有、総有という考え方があり。
共有は各自が持分を持っているので処分は自由です。
合有は潜在的には認められていますが、潜在的になので持分の処分は自由にできません。
この辺は、また物権のところでお話していきます。ので今は大丈夫です。
行為能力と意思能力
権利能力
意思能力
行為能力
それぞれの定義を確認していてください。
意思無能力者が行った意思表示は 無効です。
では、何故制限行為能力という制度ができたのでしょうか?
意思表示の当時、意思無能力だったということを立証するのは実は結構 難しいのです。
しかし、それでは意思無能力者の保護に欠けるということで、制限行為能力という制度が規定されました。
では制限行為能力者はどのような者か?
4種類ありましたよね。
未成年者とは
未成年者の定義(年齢等)を確認しておいてください。
法定代理人の権限については
1、代理権
2、同意見
3、取消権
4、追認権
が認められています
未成年者が法定代理人の同意を得ないで単独で行った法律行為は原則取消すことができます。
原則があれば例外があります。
例外(法定代理人の同意無しでも単独でできるもの)
全て確認しておいてください。
そして未成年者が婚姻したとき(男は18歳、女は16歳で婚姻可能)は成年に達したものとみなされます。(成年擬制)
みなす(擬制)と推定の意味をもう一度確認していてください。
みなされるということは、未成年者が離婚しても成年擬制の効果は失われません。
例えば婚姻した未成年の夫は成年とみなされるので、親の同意無しで妻と一緒に住む住居の賃貸借契約を結ぶことができます。結果この未成年の夫がその後、離婚したとしても擬制されているので離婚を理由にその賃貸借契約を取消すことはできません。よく法的安定性を守るためとも言われています。
成年被後見人について
「被」ということは〜されるということです。被告は訴えられた方ですよね。
成年被後見人とは、事理を弁識する能力を欠く状況にある者で、家庭裁判所から後見開始の審判を受けたものをいいます。
また、成年被後見人が単独で行った行為は原則として取消すことができます。
原則があれば例外があります。
単独でできる行為は確認していてください。
成年後見人について
成年後見人の権限については
1、代理権
2、取消権
3、追認権
4、 同意見なし
つまり、成年被後見人は成年後見人の同意を得て行った行為であっても取消すことができます。
被保佐人とは
被保佐人とは、事理を弁識する能力が著しく不十分な者で、家庭裁判所から保佐開始の審判を受けた者をいいます。(11条)
被保佐人については、原則として単独で有効な法律行為をすることができる。(成年被後見人との違いに注意)ということを確認しておいてください。
また、原則単独で法律行為をすることができますが、例外として13条1項にかかげる財産上重要な行為については、保佐人の同意が必要になります。
財産上重要な行為については、しっかりと確認しておいてください。
保佐人について
保佐人の権限は
1、代理権(一定の者の請求により、代理権付与の審判をすることができます。)
2、同意見(財産上重要な行為については、同意見が認められています。)
3、取消権
4、追認権
被補助人について
被補助人とは、事理を弁識する能力が 不十分な者で、家庭裁判所から補助開始の審判を受けたものをいいます。(15条)
被補助人については、本人以外の請求の時は、必ず本人の同意が必要になりますので、被保佐人の請求などの違いに注意をしてください。
また、被補助人についても、原則として 単独で有効な法律行為をすることができます。
ただし、 例外として13条1項にあげられた財産上重要な行為については、家庭裁判所が定めた特定の一部の行為(被保佐人との違いに注意)については、補助人の 同意を必要とすることができるとされています。
補助人について
補助人の権限は
1、代理権(一定の者の請求により代理権付与の審判をすることができます。)
2、同意見(家庭裁判所が定めた特定の一部(13条1項の中から)の行為については、補助にの同意を必要とすることができます。)
3、取消権
4、追認権
が認められています。
制限行為能力者の相手方を保護する制度
民法では制限行為能力者の相手方を保護する制度も規定されています。
法定追認
また、改めて解説します。
取消権の行使の期間制限
追認できる時から 5年、行為の時から20年で消滅する。とされています。
相手方の催告権
1ヶ月以上の期間を定めて、追認するか否かの確答を求めることができます。
この場合において、
保護者や能力を回復した本人(19歳から20歳になった場合など)に催告した場合に、確答がない場合は 追認
被保佐人・被補助人に対して催告した場合は、取消し
未成年者・成年被後見人に催告をした場合は、催告自体に意味なし
という扱いがされます。
制限行為能力者の詐術
制限行為能力者が詐術を用いて、自らを 行為能力者であると相手方に誤信させた場合は、詐術を用いた制限行為能力者の取消権が否定されます。
例えば、 同意権者の同意があるかのように信じさせる場合も、詐術にあたります。
また、制限行為能力者であることを黙秘するのみでは、 詐術にあたりませんが、他の言動と相まって相手方の誤信を強めさせた場合については、 詐術にあたります。
まとめ
権利能力、意思能力、行為能力などの定義を確認し、制限行為能力について認識を深めていくことが行政書士試験の勉強をする上で大切になります。
また、 失踪宣告(普通失踪、特別失踪の要件など)、擬制・推定の違いなどももう一度確認していくことを忘れずに。
勉強に仕事と辛い時の方が多いと思いますが、焦らず一歩一歩確実に元気に頑張っていきましょう!