原本、謄本、正本、抄本など役所などで書面を取得する場合に、
「どの種類の書面が必要か」悩まれたことはありませんか?
また、「原本、謄本、正本、抄本の違いってなんだっけ?」と思ったことはありませんか?
実際、行政書士業務をしていても、謄本などを取得しなければいけないケースが多くあります。そこで今回は日常生活の中で、今更聞けないこの原本、謄本、正本、抄本の違いについて書いていきます。参考にして頂ければ幸いです。
原本とは?
世界に一つだけしかないオリジナルの書面です。
例えば
契約書を作成し、その契約書にサインと押印をして作成されたものが原本になります。
印鑑を押印した時に、朱肉がついているものが原本になります。
つまり書類の大元ということです。
ちなみに原本の写しとは、名前の通り原本のコピーです。原本を複写したり、コピー機等で印刷したりする場合が多いです。
原本の写しを作成することで、原本が存在する可能性(蓋然性)があることを示すことができます。
ただし、訴訟では原則的に証拠書類は原本を用いることになっています。
また、契約書では原本をAさん(甲)、その写しをBさん(乙)が責任を持って保管する等と記載されていることが多いです。
謄本とは?
原本の内容をそっくりそのまま写して証明される書面です。何かを証明する時に作成されるので、謄本作成者の名前と押印がされています。
役所で戸籍謄本等を取得したことがある人は、
「これは、戸籍に記録されている事項の全部を証明した書面である。」
区長の名前 押印
などの記載があったと思います。
つまり、謄本とは原本の内容をそのまま写したものになります。
正本とは?
謄本の中の一つの種類 になります。つまり、正本は謄本と同じく原本の内容をそっくりそのまま写したもの になります。
では、正本と謄本の違いは?
大きく異なる点は、法的効力 があるかないかの点になります。
正本は裁判所書記官や公証人など、法令で定められた権限のあるものによって作成されたものです。よって、正本には法的効力があり 、謄本には法的効力がありません 。
つまり正本には法的効力があるので強制執行 などができるようになります。
例えば、
裁判などの訴訟における勝訴判決に基づいて強制執行を行う場合には、判決正本を使うことになっています。また、公正証書に基づいて強制執行をする場合も公正証書の正本を使うことになっています。
役所に行って、戸籍謄本はあるけど戸籍正本がないのはこの理由 からです。
謄本は単にその内容を証明することができるだけです。
行政書士業務でも戸籍謄本を取得して相続人調査を行うことがありますが、これは相続関係を証明するためだけに使用します。
しかし正本は、証明するだけではなく法的効力を有するので、正本があれば強制執行が可能 になります。
抄本とは?
原本の内容の一部を写して証明する書面です。
例えば
役所で戸籍抄本や住民票抄本などを取得することができます。
謄本では全てのっていますが、抄本では自分の部分だけを出してもらうことができます。
つまり、謄本は全部、抄本は一部ということです。
ちなみに、コンピューター化に伴い
戸籍謄本は戸籍全部事項証明書
戸籍抄本は戸籍個人事項証明書
などに名称が変更されています。役所では「戸籍謄本、戸籍抄本をください」と言っても問題はありません。
まとめ
原本、謄本、正本、抄本と名称が違うだけで大きく違ってきます。
相続人調査であれば戸籍謄本が必要になるなど、各々のケースで必要になるものが変わってきますので、もう一度名称による違いを再確認してみてください。
日常生活を行っていて、原本などの種類の違いを聞く機会も少ないと思いますので、
是非参考にしてみてください。