民泊

大阪で民泊許可をもらうために役立つエントリー

大阪市中央区で行政書士として法務相談を受けていると、民泊の許可についての相談も受けることが多くあります。

その背景には、大阪市でも国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(いわゆる特区民泊)として許可を受けると合法的に行うことができるようになったということが考えられます。

民泊の許可は、申請をすればすぐに許可取得ができるわけではなく、消防法への対応や周辺住民などへの説明を行うことなど、多くの要件をクリアしていく必要があります。

多くの要件をクリアしていく必要はありますが、民泊の許可を受けないで営業をしてしまうと無許可営業として、罰則を受けることになるのでしっかりと民泊の許可を取得して営業しなければなりません。

そこで今回は大阪市で民泊の許可を受けるために役立つことを考えていきます。

大阪市で、民泊のビジネスを始めようと検討している方の参考になれば幸いです。

当事務所の特区民泊の特定認定の実績についてはこちらを参考にしてください↓

民泊の許可申請の方法は?

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大阪市における民泊の許可申請の大まかな流れから確認していきます。

民泊許可手続きの大まかな流れ

民泊許可手続きの流れは以下のとおりです。

①特区民泊の許可を受けることが可能かどうか、事前相談(大阪市の環境衛生監視課、管轄の消防、環境局等に)を行います。
②民泊の事業計画の周知を行う。(周辺住民への事前説明など)
③認定申請(申請書類及び添付書類を準備して申請)
④保健所職員の現地調査
⑤特区民泊許可の認定書交付

大まかな民泊許可までの流れは、上記の手続きを準番に進めていくことになります。

特区民泊の許可申請に必要な書類について

特区民泊の許可申請に必要な書類について考えていきます。

1、民泊の特定認定申請書

申請書はこちらになります。↓下のリンクを押しますと、PDFファイルが開きます。

特区民泊申請書

2、定款又は寄付行為及び登記事項証明書(法人の場合)

「及び」と記載されているため、登記事項証明書だけではなく、定款か寄付行為のいずれかも必要になります。

3、住民票の写し(個人の場合)

個人申請の場合は、住民票の写しが必要となるので、用意しておきましょう。

4、施設の構造設備を明らかにする図面

各居室(貸出す部屋のことです。)の間取り、床面積、便所、浴室、台所、洗面設備などの位置を明らかにしたものが必要になります。この図面は、施設の各階ごとの平面図が必要になります。

また、床面積は25㎡以上必要になりますが、ベランダは床面積には含まれないので注意が必要です。

25㎡を未満の場合は、住宅宿泊事業法における届出を行うなど、別の方法で民泊運営を行うなどを検討する必要があります。

住宅宿泊事業の届出については、以下の記事でも解説をしていますので、参考にしてください。↓

5、滞在者名簿の様式

滞在期間、氏名、住所、職業、国籍、旅券(パスポート)番号、滞在期間中の連絡先、滞在者確認記録の記載は必須となっております。

6、消防法その他の消防に係る関係法令に適合していることを証する書面の写し

特区民泊許可申請時に添付書類として、消防法令適合通知書の写しを添付する必要があります。

特区民泊では、旅館業法の一部が緩和されていますが、現状は、消防法に関する事項は緩和されていませんので、基準も厳しいものになっています。

したがって、必ず特区民泊の許可申請をする前に、管轄の消防に事前相談をすることをお勧めします。

特にマンションで民泊を行う場合は、様々な消防の規制がかかってくる可能性が高く、そのことで設備に大きな費用がかかることがありますので注意が必要です。

一軒家で民泊許可を取得する場合の消防設備については、以下の記事で詳しく解説をしています。↓

7、水質基準に関する水質検査成績書の写し

水を人の飲用に適する水として供給する施設以外の水を使用する場合は、必要になります。

8、賃貸借契約書の写しや使用承諾書などの書面の写し

民泊で提供する施設が賃貸の場合などは、賃貸借契約書や使用承諾書等の写しが必要になります。

夫婦で建物を共有して所有している場合でも、いずれかの使用承諾書が求められますので、忘れないように注意が必要です。

9、管理規約に違反していないことを証する書類

民泊で提供する施設が、マンションなどの場合は管理規約に違反していないことを証することを管理組合等が交付した書面が必要になります。

10、施設の構造設備・外国人旅客の滞在に必要な役務の提供の概要

廃棄物処理の体制や、近隣住民からの苦情対応の体制等を記載した申請書を提出しなければなりません。

概要の書式はこちらになります↓↓下のリンクを押しますと、PDFファイルが開きます。

施設の構造設備・外国人旅客の滞在に必要な役務の提供の概要

また、保健所に特区民泊の特定認定の申請をする前に、廃棄物の処理に関して、環境局事業部一般廃棄物指導課に届出を行うことも求められますので、忘れないように注意が必要です。

以下、大阪市のホームページで公表されている環境局の連絡先一覧を掲載しておきます。↓

環境局の組織一覧

11、付近の見取図

事前に周知しなければならない、近隣住民の対象範囲がわかる見取図を添付する必要があります。

12、案内書(ハウスマニュアル)

居室内に備え付ける施設の使用方法などを説明する案内書が必要になります。この案内書は、日本語及び対象とする外国人の使用する外国語で記載された案内書も必要になります。

案内書(ハウスマニュアル)については以下の記事で詳しく解説をしています。↓

13、近隣住民への説明に使用した資料・説明方法・実施結果を記した書面

近隣住民への説明に使用した資料などを記載した書類を添付する必要があります。

こちらの書式を参考にしてください↓↓下のリンクを押しますと、PDFファイルが開きます。

近隣住民への説明に使用した資料などの書式

※(追記)2020年4月から条例が改正され、住民説明の方法は、戸別訪問は原則認められず、住民説明会を実施することが必須になりました。

住民説明についての詳細は以下の記事で詳しく解説をしています。↓

特区民泊の認定申請の手続きを行うためには、上記書類の全てが必要になり、正本とその写しの2部準備し、提出することになります。

特区民泊の申請が終わると保健所職員の現地調査

上記で記載した書類等を保健所に申請し、無事に受理されると、後日保健所職員の方が現地に調査にやってきます。

この調査の日程は、申請をした翌日〜2日後くらいにあらためて電話がかかってくるので、現地調査が可能な日程を調整することになります。

現地調査では、「申請した書類と異なった点がないか?」ということが確認され、簡単に床面積が図られます。

そこで、問題がなければ、特区民泊の特定認定のの許可、不許可の決定を待つだけになります。

民泊の営業を検討したい場合に必要な情報は?

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民泊の許可が必要な場合は、大阪市では以下のようなケースが公表されています。。

自宅の建物や空き家、マンションの空室等を活用する場合であっても、インターネットを介して宿泊者を募り、宿泊料とみなすことができる対価を得て人を宿泊させる業を営む者については、旅館業法に基づく許可、もしくは特区民泊の特定認定を受ける必要がある。

上記のように大阪市ではされていますので、このようなビジネスを行う場合には、旅館業法に基づく許可、もしくは特区民泊の許可を受ける必要があります。

民泊のことが詳しく書かれた大阪市のウェブサイトURLは、以下となります。

いわゆる民泊サービスについて

また民泊許可が必要かどうかは、以下のチェック事項も確認してみてください。

民泊許可が必要かどうかのチェック事項

①料金を受け取る。
②インターネットの仲介サイト・広告等により宿泊者を募集する。
③布団・毛布・枕などの寝具を提供する。
④繰り返し宿泊させる。

上記項目に当てはまる場合は、旅館業法に基づく許可、もしくは特区民泊の許可が必要になります。

特区民泊や簡易宿所の違い等については以下の記事でも詳細に解説をしています。↓

そもそも民泊条例って?

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そもそも民泊とは、住宅のすべてまたは一部を活用して宿泊サービスを提供することを指します。大阪市のウェブサイトにもそのように公表されています。

民泊に関する法律は、国家戦略特別区域法で記載されており、民泊条例とは、その民泊を規定する条例のことです。

そのため、基本的な事項は、国家戦略特別区域法等で規定されていますが、その中でも、大阪市が独自に条例で制定している部分があります。

したがって、大阪市で民泊の許可を取得する場合は、大阪市の民泊条例にも気をつけなければなりません。

民泊条例のなかで気をつけておきたいことは?

以下で民泊条例のなかで気をつけておきたいことをご紹介いたします。

外国人の方の宿泊日数は6泊7日以上であること

国家戦略特別区域法施行令では、施設を使用させる期間は3日から10日とされていますが、大阪市では7日とされています。

現在、大阪市では条例を改正して上記7日という日数を短縮しようと動いていますので、今後上記期間は短縮される予定ではあります。

(追記:現在は2泊3日での施設利用が可能になっています。)

また、民泊の許可を受けた事業者は、民泊施設の滞在者に対して、施設の使用時に、以下の項目を説明する必要があります。

①施設に備えられた設備の使用方法
②廃棄物の処理方法
③騒音等により周囲に迷惑をかけないこと
④火災などの緊急事態が発生した場合における、通報先及び初期対応の方法
⑤民泊の許可を受けた事業者は、近隣住民からの苦情等の窓口を設置すること。また近隣住民に周知し、近隣住民からの苦情等に対しては適切に対応すること

以下に大阪市の民泊条例を掲載しておきます。↓

国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例

民泊許可申請の手数料について

大阪市で民泊許可申請をする場合の手数料は、1件につき21,200円となっております。

条例は改正される可能性がある

大阪市では、その時々の情勢や、住民などの意見を受ける等、その時に適した条例を考え、改正していきます。
例えば、2泊3日での施設利用が可能になったり、住民説明会を必ず開催すること等も改正によって、変更になっています。

そのため、事業者が特区民泊の許可を取得しようと動き出した時には、条例が改正されている可能性もありますので、その動向を常に注視しておく必要があります。

近隣住民の方に対する住民説明会については以下の記事で解説をしています。↓

特区民泊の許可を取得することができるエリアは?


大阪市で特区民泊の許可を取得するためには、事前に必ず地域・エリアを確認する必要があります。
特区民泊の特定認定を取得できる地域は以下の通りです。

特区民泊の営業を行うことができる用途地域

・第一種住居地域(ただし、3,000m2以下)
・第二種住居地域
・準住居地域
・近隣商業地域
・商業地域
・準工業地域

参照:大阪市のホームページ 国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業 ガイドラインより

上記、6つの地域において特区民泊の営業を行うことが可能になります。

特区民泊の許可申請はどこでする?


特区民泊の申請は、大阪市保健所環境衛生監視課(旅館業指導グループ)に特区民泊許可申請書、消防法令適合通知書や環境局への届出書等を持参して、申請することになります。

2021年(令和3年)1月8日(金)まで申請先の環境衛生監視課の所在地については、大阪市阿倍野区旭町1-2-7-307あべのメディックス3階となっています。

それ以降(2021年1月12日から)は、移転をしますので、
大阪市中央区船場中央1-2船場センタービル1号館地下1階B119になりますので、注意が必要です。

現在は、移転が終わっているので、特区民泊の申請は、上記の船場センタービル1号館地下1階B119に申請手続きをすることになっています。

特区民泊の許可をもらえるまでにかかる期間は?


特区民泊書類を全て揃え、保健所に申請してから許可が降りるまでの標準処理期間は2週間となっています。

しかし、この期間は、書類に不備があれば、許可が降りるまでの期間が長くなります。

また、保健所職員の現地調査が終了してから、審査に入りますので、実質的には、書類の不備がなく、現地調査が完了してから2週間となっています。

そして、標準処理期間はあくまでも目安ですので、申請件数が多い場合などは、2週間を超えることもありますので、余裕を持って申請をすることが大切です。

また、この2週間には、行政庁の休日にあたる、土日祝や年末年始は含まれていませんので、そちらも注意しておくことが必要です。

URLの届出も必要に


特区民泊の許可を取得した後に、Aribnb等に登録して集客をする場合は、特定認定取得後に保健所に変更届としてURLの届出をする必要があります。(事前にURL等を申請書に記載している場合は不要。)

通常は認定書を添付しないとAribnb等には登録できないので、一般的には許可後に届出をする形になると思います。

この届出が完了した後に、適法民泊のシール(民泊マーク)を保健所から取得することができます。
民泊マークについては環境局のホームページで掲載をされています。↓

特区民泊許可の申請は行政書士に依頼すればいいの?


特区民泊の申請は行政手続きですので、個人で申請することができます。

しかし、上述したとおり特区民泊の許可書類等を作成するには、専門知識と多くの時間が必要になります。

そのため、民泊許可申請について専門家に依頼することも検討する必要があります。

行政に対する許認可の手続きは、行政書士が専門になりますので、個人で申請手続きをすることが難しいと感じる方は、法務の専門家である行政書士に依頼することで、スムーズに民泊の許可を取得することができます。

行政書士に民泊許可の依頼を検討している方は、以下の記事も参考にしてください。↓

まとめ

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今回は、大阪市で民泊の許可を取得する場合に役立つことを書いてきました。

民泊の許可申請をする場合は、申請書類を作成することも大切ですが、用途地域の確認や消防法への適合について、近隣住民への説明など、実は事前にすべきことも沢山あります。

コロナ禍の影響で外国人旅行者数は大きく減少しましたが、大阪では万博やIR等、観光客を呼びこむ動きが進んでくると思いますので、民泊ビジネスは今後も期待できるビジネスであると考えています。

民泊ビジネスで独立、または新たな事業展開として民泊のビジネスを始める方は、今回の内容を参考にして頂ければ幸いです。

また、民泊の許可申請は個人で行うには、ハードルが高く難しいと感じる方は、行政書士等の許認可法務の専門家に依頼することも有効な選択肢の一つになりますので、一度検討してみてはどうでしょうか。

弊所は、毎日放送の「ちちんぷいぷい」の特区民泊の特集や名古屋テレビの民泊特集などのメディアにも民泊に強い行政書士として出演していますので、特区民泊を検討中の方は、お気軽にご相談ください。

法律資格の専門校、伊藤塾等でも特区民泊の許可についての講演を大勢の前で行ったりもしてます。

当事務所の案内動画も以下で見ることができます。↓

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