外国人の方が納める税金(所得税・住民税等)について
2016.10.08
日本に滞在するためには、在留資格を取得し、目的にあった活動をする必要があります。
また、日本で働いている外国人の方には所得税や、あるいは日本に居住している外国人の方には、住民税等がかかってくることになります。
そこで、今回は外国人の方が納める税金について考えていきます。
日本に滞在している外国人の方の参考になれば幸いです。
税金を納めるべき人について
日本国内に滞在している外国人の方が、税金を納めるべきかどうかについては、居住者か非居住者によって判断することになります。
居住者とは
1、日本国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人を言います。
ここでいう「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。
つまり、「住所」は、その人の生活の中心がどこかで判定されることになります。
ただし、滞在期間が1年未満であっても、居住者とされることもありますので、注意が必要です。
非永住者とは
居住者のうち、日本国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内において、国内に住所または居所を有していた期間の合計が5年以下の人を言います。
つまり、非永住者の方も、居住者として扱われますので、注意が必要です。
非居住者とは
居住者以外の人を言います。
所得税・住民税の範囲について
外国人の方が、居住者か非居住者であるかどうかによって、給料等を支払う者が徴収する課税の範囲や徴収方法が異なります。
非居住者の方の所得税・住民税について
非居住者の方は、所得税については日本国内で生じた所得については課税されます。
しかし、住民税に関しては非課税となりますので、住民税は発生しません。
居住者の方の所得税・住民税について
日本国内で生じた所得については、非居住者と同様に課税されます。
また、上記以外の所得で日本国内で支払われ、または国外から送金されたものも、課税対象になります。
そして、住民税については、1月1日現在、居住者として日本に居住していた場合は課税されます。
永住者について
永住者の方については、日本国内・国外で発生したすべての所得について課税対象になります。
所得税とは?
所得税とは、個人がその年の1月1日~12月31日の1年間に取得した、所得に対して課税される税金です。
会社員の方の場合は、勤務先で給料からの天引き(源泉徴収)や、年末調整まで全て手続きしてくれますので、原則的には確定申告などをする必要ありません。
会社員の方の給与は、給与所得として所得税がかかりますが、給与所得以外にも雑所得や不動産所得などの所得に関する種類があります。
また、自営業者の方等は、事業所得として所得税がかかりますので、確定申告が必要になります。
住民税とは?
住民税とは、1月1日現在に住んでいる住所地において、前年の1月1日から12月31日までの1年間の所得に対して課税される税金になります。そのため、1月2日以降に他の市町村に転居した場合においても、1月1日現在で居住していた市町村に全て納付する必要があります。
住民税の種類には、普通徴収や特別徴収などの種類があります。
家族滞在の外国人の方がパート等で働く場合
家族滞在の在留資格で日本に滞在している方が、パートなどで働くような場合については、入国管理局へ申請し、資格外活動の許可を得ることが必要になります。
資格外活動の許可を得ることができると、週28時間まで働くことが可能になります。
家族滞在の在留資格の場合でも、資格外活動の許可を得ることなく働いてしまうと不法就労とされますので、パート等をする場合は必ず資格外活動の許可を得ることをわすれてはいけません。
一定額を超えると扶養から外される
例えば、家族滞在の在留資格で日本に滞在している妻が、扶養家族であり収入がない場合については、妻自身が支払う税金や社会保険料等は発生しません。
しかし、資格外活動の許可を得てパート等で働き、妻の年収が100万円を超えてしまうと住民税がかかってきます。
103万円を超えると
パート等で働いている妻の年収が103万円を超えると、今度は所得税が発生します。そして、1年間の税金を計算することになったとき(年末調整)に、夫の配偶者控除を受けることができなくなります。
130万円を超えると
妻の年収が130万円を超えると、健康保険と厚生年金保険の扶養家族から外されることになります。
そうなると、働いている妻は夫の健康保険を利用することができなくなってしまいます。
夫の健康保険が利用することができなくなった場合は、妻が働いている職場で健康保険と厚生年金保険に加入することができれば良いですが、加入できない場合は、自分で国民健康保険と国民年金に加入しなければなりません。
資格外活動の年間における時間について
資格外活動でパート等で活動をすることができる時間は、上述した通り週28時間となっております。
つまり、年間で働くことができる時間は
週28時間×1ヶ月(4週間)×1年(12ヶ月)で考えると、1344時間となっております。
仮に時給を900円で計算すると、年間の所得が1,209,600円となり103万円を超えてしまいます。
時給を1,000円で考えると130万円を超えてしまう状況になります。
この、扶養控除の問題については、2016年現在も政府の方で色々話し合いがされていますが、現状は上記の制度になっています。
フルタイムになると在留資格の変更が必要に
健康保険の扶養から外れたことによって、直に家族滞在の在留資格の変更が必要になるということではありません。
しかし、パートなど資格外活動の範囲内で働いている場合には問題になりませんが、フルタイムで働くようなり配偶者の扶養から外れることになる場合については、家族滞在の在留資格から、従事することになる業務(活動)に適合した在留資格に変更する必要がありますので、注意が必要です。
まとめ
外国人の方が日本で活動している場合については、所得税や住民税などの税金を納める必要がある場合があります。
今回は、外国人の方の税金の問題について考えてきました。
日本で生活を送っている外国人の方の参考になれば幸いです。